5th workshop

5th Ethnographies of Science & Technology Workshop
第五回「科学技術の民族誌研究会」

「存在論的転換」を再考する

Casper Bruun Jensen
(IT University of Copenhagen)

【日時】2012年5月7日(月)14時〜17時
【場所】大阪大学人間科学研究科(吹田キャンパス)2階 会議室B
アクセス:https://55099zzwd.coop.osaka-u.ac.jp/daigaku-hall/files/access.html
問い合わせ先:鈴木 和歌奈(wakana.s.kyoto@gmail.com)。
※ テキストについてはこちらから入手ください。

導入

「存在論的転換」という言葉が、昨今日本でも多くの人類学者の口に上るようになってきました。しかしながら、この言葉が何をさしているのかは必ずしも明白ではありません。たとえば、科学技術を研究する人類学者たちは、自然についての科学的事実が科学の実践を通して立ち現れるというSTSの議論に依拠して、知識についての人類学的研究をモノの自然的/技術的構成も含んだものに拡張することを主張してきました。一方、Viveiros de Castroらの影響を受けた人々は、存在論を世界認識のあり方の根源的な他者性をとらえる方法として主張しています。さらに、こうした議論は、Roy WagnerからMarilyn Strathernに至る民族誌的な実践のイノベーションと絡み合ってきました。そのため、現在、存在論をめぐる議論はある種の混乱状態にあるように思われます。今回の研究会では、存在論をめぐってデンマーク人類学会で戦わされた論争のコメンタリーとして、Christopher Gad, Casper Jensen, Brit Ross Winthereikが共著した論文を取り上げます。この論文で著者たちは、STSと人類学の異同に注目しながら、存在論をめぐる議論の状況の整理を試みています。当日は、著者の一人であるCasper Jensenさんとともにこの問題を考えたいと思います。なお、当日はテキストを読んでくることを参加の条件とさせていただきます。

検討テキスト

Christopher Gad, Casper Bruun Jensen & Brit Ross Winthereik (manuscript) “Practical Ontology: Worlds in STS and Anthropology” (English translation of the original Danish text appeared in “Tidsskriftet Antropologi” in 2012).